29歳になったから20代向けのビジネス本を24冊読んでみた。
限界おじさんかく語りき
29歳になると、おじさんは不安になる。
とりわけ、独りもんで、厨二病が根治していない場合は中々悲しいことになる。
いい歳なので、紅蓮の焔を其の身に纏い襲い来る敵を劫火に焚べる術(すべ)を扱うこともなければ、夜の支配者-不死の王(ノーライフ・キング)の寵愛を賜って高貴なる眷属になるわけでもないし、妹を鬼に変えた化け物への復讐を誓って刃(やいば)を手に取ることもなく、そういう劇的でファンタジックなイベントが、今後、自分の人生には起こりえないと理解しているはいるものの、それでも”何者”か、主人公ないしは愛すべき悪役になることへの憧憬は、静電気たっぷりの手で触れた時のレシートの如くまとわりつく。
中学生からの妄想癖が消えないんです問題に文字をたくさん使ってしまったが、要は、家庭も持たず、貯金と呼べるものもなく、仕事でも大したことは任されない、いつの間にか「普通」のレールすら踏み外し、うだうだしてるだけで結局何者にもなれていない、どこにでもいる凡人(ぼんちゅ)。それが限界独身オタクおじさん=俺である。オーノー!
さて、そんな懊悩*1を抱えたら、「何かしたくなる」のがおじさんの佐賀*2である。
だから、29歳になったから20代向けのビジネス本を24冊読んでみた。
はい、というわけでインターネット無名人のなりたさまです。
タイトルは「29歳になったから〜」ですが、2022年1月現在は30歳になってます。
つまり、29歳になったからようやく焦って何事かを始めたおじさんの悪あがき日記、になります。
一っ走り付き合えよ。
読書への意志
タイトルに「20代」とか「30歳までに」のような語句を含む本(以下)を24冊読んだ。ブックオフで100円の棚にあるのをザーッとカゴに入れたのだったり、Amazonで注文して翌日届いたのまでさまざまだ。
ちなみに過去数年の年間読書量は参考書と漫画を除くと2冊/年くらい。伊坂幸太郎か米澤穂信くらいは読んだりしていたが、基本的に読書しない人であった。それが24冊よ?すごない?
力への意志
読んだ本の中身には今回は触れない。チャレンジ全体を通して得た学びというか、感想は以下である。できるだけタイムラインに忠実な感じで書き下している(つもり)。
- 見開き右側にデカ文字の本、思ったより早く読めるな
- コンビニに置いてそうな本、内容怪しくないか?
- お金のことはちゃんと学んだ方がいいっぽい
- なんか、イキリまくってるのがおるな…
- ビジネス本っぽくないやつ、良い〜〜〜〜〜
- あれ?ビジネス本って思ったよりしょうもないの多い?
- みんな同じようなこと言ってる
- この著者前も見たけど、通算200冊本書いてる著者、1冊1冊が浅そう
- レビューで大絶賛してる人、人生浅そう
- こんなん何冊も読むより哲学とか心理学勉強する方がよっぽどタメになるな
- 読書って面白いな〜
太字にしたやつはいずれ掘り下げたい。
24冊読んだわけだが、
正直、読んでも読まなくてもどっちでも良かったなが大半である。
ここで弁明というか、24冊止まりになった言い訳なのだが、本当はせめて30冊と目標設定していた。
が、読書習慣の無さゆえ良さげな本を選ぶ能力がなく、ファースト・セカンドチョイスはランダムピックしたため、個人的にはハズレ本を引いており最初の5冊で気持ち的にはかなりしんどくなった。
6冊目の「20代を無難に生きるな」と9冊目の「20代で得た知見」でちょっと持ち直したのだが、その後再びつまらなくなって途中で投げて普通に小説読んだりして現実逃避していた。ので、24冊は結構頑張ったよえらいえらいという話である。
Amazon.co.jp: 20代を無難に生きるな (きずな出版) eBook : 永松 茂久: 本
(この2冊はまあまあ良かった)
ただまあ、やっていたことは現実逃避なのだが、この時点で読書は楽しいと思えるようになっており、ソシャゲで時間を浪費するよりは本を読みたい欲が勝り、生活の中でも会社帰りに書店に寄っては興味ある本を数冊買って帰る、というサイクルが確立していた。中でも哲学(ニーチェ)や心理学(マズロー)はブッ刺さりであり、しょうもなビジネス本を何冊も読むよりこっちを読みたくなってそっちを優先していた。
そんなこんなでちゃんと自分の興味を向けられる対象に気づいた後で重い腰を上げてチャレンジ復帰したのだが、そしたら驚くべき変化があった。
悦ばしき意識
気づけば、批判的に読めるようになっていた。
文字を眺めて「ふんふん」ってするだけじゃなくて、「流石に過言では?」とか「さも著者の大発見みたいに言ってるけど、それってニーチェでは?」「マズローの方がいいこと言ってるわな」とか、明らかに自分の中での解像度が上がったというか、噛み砕く力が強くなっていた。
チャレンジを始めた当初は
「あちこちの本に似たような内容が書いてあればそれをまとめれば(具体例→抽象化)それは真理と言えるのかもしれない」
などと考え、教えの出現頻度をメモしていたりしたのだが、もう、上記のような考えに陥っているので、「しょうもないものの出現頻度を数えてもしょうないものにしかならない」
と気づき、やめました。
長々書いたけどつまり言いたいのは
20代向けビジネス本は浅い思索で止まっており、哲学とか心理学の方が深く、汎用的なのでさまざまな場面で活かせそう。ということ。
得た学びは、以下である。
- 読書は素晴らしい
- 20代向けビジネス本はしょうもない
- しょうもない本読むくらいなら哲学や心理学の方がいい
- お金のことは学んでおいて損はなさそう(またいずれ書く)
これから20代を生きる人へ
哲学・心理学ってすげー!だけして、20代向けビジネス本をくさすだけで終わるのも建設的でないのでオススメの本を書く。そもそもニーチェなんていうザ・定番哲学者みたいなもんを礼賛して「はいはい、哲学初心者乙です」なんて思われるのも癪であるからして。
でもニーチェは紹介するね。
現代を生きる人には刺さること請け合いニーチェ先生。「誰かの価値観じゃなくて自分の感性を大事にしろ」的な名言があったら「ニーチェみある」とか言っとくと良いと思う。ちなみに今はツァラトゥストラ読んでます。
あと、そろそろデカルト・カントあたりも必要かと思ってます。現代だとサンデルも読みたい。
自己実現欲求で有名なマズロー先生。ここでマズロー先生の考える「愛」についての言葉を引用しますと
「性と愛は、健康な人々においては完全に近い形でお互いに融合しうるし、実際にも融合していることがしばしば見受けられる、との報告がなされている」
しれっと下ネタみたいなこと言ってるのが良い。
ちゃんと自己実現していきたいし、社会にとって良い人間となりたいと思いました。
ってあれ、これって7つの習慣も同じこと言ってね?
というわけでかの有名なやつ。読んだし、弊社の研修でセミナーも受けたんですが、自己啓発みに汚染されてて読後感と受講後の体験が一致していなかった。セミナーの方は腐したい感じだった。
世界的ベストセラーと言われるだけあって、内容は良かったんだけど、7つのテクニックの前提部分にニーチェみ、マズローみ、(アドラーもいた気がする)を感じたので、やっぱりこの2人は知っといてよかったと思います。
ちなみに「スティーブン・R・コヴィー」と「自分の喜び」で踏めると思うのだが如何だろうか。
これは哲学とかじゃなくてコピーライターの田中泰延さんの本ですが、こちらも大変よかったです。読んでて首肯しまくってた。ビジネスライティングのテクニックとかを無理に適用しなくたっていいと思ったら書く意欲がもりもり湧いてきて今キーボード叩いてます。今この時も自分が読みたいことを書けているといいのだが。あと、たい焼きが食いたくなる。
終わりに
29歳からの20代向けビジネス本チャレンジを通して思ったことは以下
あと、いい歳になっても、結局自分は何者にもなれないんだと気づいたら、そこからが本当のスタートなんじゃないでしょうか。というわけで、30代も頑張ります。
P.S.