なりたさまかく語りき

結局好きなこと書くのがいちばんよい。

【読書】3分ハッキング【感想文】

読みました。仕事柄セキュリティ用語の解説とかやってるので活かせる内容がないか、という視点で読みましたが、素直に面白かったです。読み物(小説)としても最後にミステリ小説的なカタルシスも用意されてたし、

技術者的な視点から言うと、

・gruyere
・ディープフェイク電話
・スマートウォッチの通信プロトコル暗号化されてない問題
・wake-on-LAN

・スマート冷蔵庫

など、セキュリティやってるのに知らなかった、気付かなかった事例が取り上げられており、より自分ごととしてセキュリティを考えるきっかけになる例だと思いました。勉強になります。

 

ただ、ここからちょっぴり批判というか、「他者にオススメできるか?」という視点で言うと、セキュリティ何もわからんな初心者最後まで飽きずに読めるか、は少々難しいかな、と感じました。

というのも、主人公が、簡単にできる(3分でできる)ハッキング技術を少しずつ(作中時間では3週間)身につけ自社業務・自己研鑽に活かすというのが物語の骨子で、1チャプターに最低1個ツールの解説が挟まっており、この解説が設定内容から結果までがスクショなし・テキストのみで書かれています。

個人的にはkali linuxをはじめとした、作中で出てくるツールはほぼ触ったことがあるので脳内再生でき、復習に役立ったとすら言えるのですが、

「セキュリティわからんから入門っぽい本で勉強しよう!お、これなんか物語調っぽくていいな!」みたいなテンションで入ってきた初心者(長い)

にとっては、小説を読んでいたと思ったら、急に訳のわからん文字列に飲み込まれて断念しそう。

少なくともこの本片手にvirtualboxでkali立ち上げてmetasploitable2に攻撃ペイロード送るテンションにはなれないんじゃないかなあ・・・

ストーリー性を強めすぎると先が気になってしまい、手法を試して技術修得する意識が薄れてしまうので、両者のバランスは難しいところだと思います。

 

・・・などと多分に余計なお世話なことを考えてしまってイマイチ楽しんで読めなかったところはあるのですが、それはあくまで「自分がセキュリティ教育の教材としてオススメできるか」という視点で見ていたからであって、

「ある程度セキュリティ用語は理解しており、これから攻撃手法(ハッキング)を学ぼうとする技術者」

ぐらいをターゲットにした場合はちょうど良さそう、という印象です。

上でも書いてますが、終盤の伏線回収が(わざとらしくもありましたが)しっかりと小説的なカタルシスを形成しており、物語としての読後感は良かったです。

自分が向き合う生徒さんにそのままオススメは難しいですが、書かれている事例はセキュリティを身近なものとして捉えるのに役立つと思うので、自分なりに咀嚼して伝えるのに役立てたいと思います。

 

 

・・・謝辞に書かれている方のお名前に見覚えのある名前があり、この世界は狭いなあ、と思いました。。

 

終わり